その背中、抱きしめて 【上】



「高遠と付き合って2ヶ月くらいだっけか?」

「…うん」

羽柴くんは少し考えて

「辛いかもしれないけど、高遠のやりたいようにさせてやれよ。それで思い通りに足が動かなくて歯がゆい思いをさせるんだ。そうすれば、嫌でも時間をかけて直さなきゃいけないってことに気づくだろ。それまでゆずは、あいつから距離を置くこと。1人が寂しいなら俺だってさくらだっていつだってお前と一緒にいるから」


強くなれ。

そう言われてる気がした。


もしかしたら、もうこのまま私たちダメになるかもしれない。

もうずっと口を聞いてくれないかもしれない。

でも私にできることは、見守ることだけ。


「羽柴くん、ありがと。ほんとにありがと」

「俺もさくらもゆずに泣いて欲しくないんだよ。ゆずが悲しんでたら何とかしたいって思う。だから、小さなことでも我慢しないで俺たちに話してよ」


その気持ちが嬉しくて涙がこみ上げてくる。

「だから泣くなって!落ちるな涙!」

慌てふためく羽柴くんに、私は泣き笑いになった。



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