その背中、抱きしめて 【上】



週が明けて、今日からテスト前で部活は休み。

そして、今日から図書館に通う。


多分、今日明日は清水くんも来てるはず。


「ゆず、今回も図書室で勉強?」

「ううん、市民図書館で勉強するー」

歯切れの悪いさくらちゃんに返事をして、学校を出た。


この間はたまたま空いてたけど、自習スペースってなかなか争奪戦が激しい。

空いてるかなぁ。

空いてるといいなぁ。


図書館にさの自習スペースに直行。

空いてる1人用ブースに陣取った。


(今回も空いててよかったー。日頃の行いがよすぎるのかなぁ)

2回連続の奇跡にウハウハしながら辺りを見回した。

(清水くん来てるのかなぁ…あ、いたいた)


声をかけようと立ち上がったその時、信じられない光景が目に入った。

清水くんの隣のブースに高遠くんがいる。


心臓が跳ね上がる。

無理…無理だ。

今の私に…高遠くんと、顔を合わせる余裕も強い心も全くない。


2人に気付かれないように、荷物を持って図書館を飛び出した。



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