その背中、抱きしめて 【上】



あっと言う間に期末テストが近づいた。

中間テストの後、毎日少しずつだけど授業の復習を習慣づけた。

そのおかげで期末まであと1週間、いつもより若干余裕を持ってテスト対策が出来てる。

今回は図書館も行かないで、家で勉強することにした。

図書館から家までの時間が勿体ないかなって思ったのと、前回みたいに勉強に身が入らない出来事があるのは避けたいから。


「ゆず、変わったね」

お弁当を食べながらさくらちゃんが少し悲しそうな顔をする。

「強くなったね。高遠くんのこと吹っ切るためなんだろうけど、一生懸命すぎて胸が締め付けられるよ」

さくらちゃんは本当に泣きそうだった。

「…たしかに、高遠くんへの気持ちを断ち切るために色々がむしゃらにやってるよ。それでもなかなか吹っ切れないのが正直なところで困ってるんだけどさ。でも、高遠くんには感謝してるんだ。たくさん幸せをもらったから」

これは本当の気持ち。

辛いけど、感謝もしてる。

勉強頑張ろうと思ったのも、1学期に高遠くんが勉強を教えてくれたからだし。


「ゆずには本当に幸せになってもらいたいよ。こんないい子なのにあんな自然消滅なんて…」

「さくらちゃん。私大丈夫だから。本当にありがとう」


頑張れば、いつか報われる。

そう信じてるから、精一杯のことをするよ。



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