その背中、抱きしめて 【上】
「あ、江藤センセー」
帰り際、廊下で日本史の先生を見つけて声をかけた。
「私1学期よりテストの点悪かったのに、成績下げないでくれてありがとう」
もうすぐ50歳の江藤先生は、豪快に笑った。
「お前頑張ってたからなぁ。テストの点だって少し下がったけど悪くはなかったしな。授業態度も良かったし毎日の頑張りでおまけ」
ありがとう、先生。
3学期はテストの点でちゃんと成績取れるように頑張るよ。
気分いいまま昇降口に着いて、心臓が止まりそうになる。
うちのクラスの下駄箱の横に、会うのが辛いその人がそこに立っていた。