その背中、抱きしめて 【上】
やり直したい…
私と…?
でも
だって
「だったら…どうしてっ」
走り出してた。
高遠くんの目の前に。
人がいなくなくなった静かな昇降口。
私の声だけが響く。
「どうして私といるのを嫌がったの!?朝も帰りも別々で!話さなくなって!目を見なくなって!!」
3ヶ月分の寂しさと悲しさと切なさと怒りをぶちまける。
「そりゃ実力もあってプライドの高い高遠くんに対しておせっかいだったと思うよ!それは謝るけど!!でもそれで別れるなんて、しかも自然消滅とかひどいよ!!!」
一気にまくし立てて酸素不足で息が上がる。
「それで全部?言いたいこと全部言った?」
腕を組んで下駄箱に寄りかかったまま、表情を変えないままそう言った。
「え?」
「他に言いたいことは?俺に文句言いたいことは?」
言いたいこと。
文句言いたいこと。
そんなの…