その背中、抱きしめて 【上】
時を埋める
「先輩の親御さんに許可もらえないかもしれないけど、もし大丈夫なら夕方からイルミネーション見に行きませんか?」
「…イルミネーション?」
あ…今日、クリスマスイブ…。
「1回家に帰って、着替えてから夕方集合で。夜の外出ダメなら、このままどっか行って夕方帰ろう」
優しく抱きしめられる。
「一緒にいたい」
相変わらず、高遠くんの囁きは甘すぎてゾクッとする。
全身に電気が走る。
高遠くんに後ろから抱き締められてる状態でお母さんに電話した。
「あ、もしもしお母さん?私。お願いがあるんだけど。今日夕方から、あの…高遠くんとイルミネーション見に行っていいかな。…え?帰りの時間?」
高遠くんを見上げると、口パクで『ハチ』って言ってる。
「8時に帰るよ。うん、これから1回家帰って夕方に家出る。え、夕飯?…どうだろ、ちょっと待って」
高遠くんに夕飯は外で食べるのか聞くと、スマホ貸せって言うように指をクイクイってしてる。
スマホを高遠くんに渡した。