その背中、抱きしめて 【上】



(でも…)

今思えば、高遠くんと遊びに行っても、高遠くんが怪我してる時にタクシー呼んでくれた時も必ず夕飯前に家に着くようにしてくれた。

空が薄暗くなってる時には家まで送ってくれた。

今日はイルミネーションだから暗くならないと意味ないし、夕飯だって一緒に食べるのに…それでも20時までには家に送ってくれるって言ってる。


私は高遠くんに家が厳しいことは一言も言ってないけど、私が学校を出る前にお母さんにLINE送ったり電話してるのを見て、厳しいってことを察してくれてたんだろうな。

だから、最初に付き合ってることをお母さんにちゃんと言ってくれて(怪我して家に送る車の中でお父さんにも言ってくれたな)、門限とか勉強とか部活とか…恋にうつつを抜かしてお父さんとお母さんが心配する結果にならないように最初に宣言してくれたんだろうな。


(私のこと、本当に考えてくれてたんだなぁ…年下なのに)


「翔くんね、今日うちでクリスマスパーティーするのかも心配してたわ」

あぁ、そういえばクリスマスパーティーがどうのって電話で言ってた。

「家族でクリスマスパーティーするなら、今晩出掛けるのはやめるつもりだったんだろうね。本当に気が利く子だね」


そこまで考えてくれてたの…?

私だったらデートするのに舞い上がっちゃって、相手の家庭の事情とかまで全然考えられないや…。



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