その背中、抱きしめて 【上】
夜8時数分前、家に到着。
「ただいまー」
「あら、おかえり。送ってもらったの?」
お母さんが廊下まで出てきた。
「うん」
「明日のこと聞いた?」
明日?
何だっけ?
「ちょっと、クリスマスパーティのことよ。聞くの忘れたの?」
「あーーーーーーーー!!!忘れた!!!!」
そんなことすっかり頭から抜け落ちてたよ。
「ちょっとちゃんと聞いておいてよー?」
「わかったわかった。聞いてみるから」
部屋に入って高遠くんに電話する。
(まだ電車乗ってないかなぁ…)
数コールで高遠くんが電話に出た。
後ろから聞こえる音から察するに、まだ駅に着いてない…かな?
「もしもし、高遠くん?ごめんね、今ちょっとだけ大丈夫?」
『大丈夫。何?』
「明日の夜って空いてる?部活の後何か予定ある?」
『ないけど…何で?』
電話の向こうで高遠くんがどんな顔してるかわかる。
少し眉間にしわが寄ってるんだろうなぁ、私からどんな返答が来るのか警戒して。