その背中、抱きしめて 【上】



クリスマスムード一色の地元駅前。

そのキラキラした空間を抜けて住宅街に入ると、今度はそれぞれの家のイルミネーションが輝いている。


「ただいまー」

何の飾り付けもしていない我が家の玄関を開ける。

「おかえりー。翔くん久しぶりー」

お姉ちゃんが玄関まで迎えに来た。


お姉ちゃんには自然消滅したことは前に話してあった。

それでも

『翔くんのことだから何か考えがあるんでしょ。いつか話してくれる時が来るから、今は辛いけど待とうよ。きっと翔くんは話してくれると思うよ』

って言ってくれた。


夜、私の部屋に来てくれてずっと話を聞いてくれたり、両親がいない夜にはご飯食べに連れて行ってくれたりした。

昨日の夜、お姉ちゃんに高遠くんとヨリが戻ったことを伝えたら本当に喜んでくれた。

そして今もこんなに温かく高遠くんを迎えてくれてる。

(お姉ちゃんには本当に敵わないや…)


お母さんには黙ってたから、自然消滅したとかヨリ戻したとか全く知らないんだよね。

何回か高遠くんの話を振られたけど適当に受け流したし。

(お姉ちゃんが”お母さんには話さなくていい”って言うから…)


そんなわけで、色々な理由があって今日の高遠くん招待はすっごく緊張する。



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