その背中、抱きしめて 【上】



「うん、いいけど…」

「あ、これ写真見てもいい?」

壁に掛けた大きめのコルクボードには中学から今までに友達や部活の仲間と撮った写真を貼ってある。


「中学の時の方が多め?」

「どうだろ。でも少し多いかもしれないなぁ」

中学時代の写真は部活の大会でみんなで撮った写真とか修学旅行や体育祭、文化祭、そして普通の日に教室で撮ったのもある。

「何となく中学の時の方が先輩楽しそうに笑ってる」

「えーそう?」

「しかも幼い」

「ちょっ!!!」

幼いの当たり前でしょ…今より若いんだから!


「俺が先輩知ったのは、先輩が中3の夏だから…このへんの写真の先輩は俺の知らない先輩なんだよね」

そう言って、みんなで『2年4組 無敵』って背中にデカデカ書いてあるお揃いのTシャツをカメラに向けるように体を捻って撮った体育祭の写真に触れた。

そして、暫くの沈黙。


「…高遠くん?」


急に大きい手で頭をぐしゃぐしゃにされる。

「ぎゃあああっ!なになになに!!」

びっくりして頭を押さえながら見上げると


「カッコ悪いけど嫉妬」


そう言って高遠くんはまた私の頭をぐしゃぐしゃにした。



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