その背中、抱きしめて 【上】
「うまい具合にバレンタインデーの前の日、部活休みじゃん。男バレもそうでしょ?うちで一緒にケーキ作ろうよ」
さくらちゃんがウインクする。
「作る!!」
お菓子なんてほとんど作ったことなかったけど、美味しいケーキ作るぞー!!
まだバレンタインまで1週間以上あるのに、部活中もケーキのことで頭がいっぱい。
みんなから「ゆずが浮かれポンチ」って笑われた。
(だってケーキ作るの楽しみなんだもーん)
「何かいいことでもあったの?」
高遠くんと一緒に帰ってる間もずっと口元が緩みっぱなし。
「いいことっていうか、楽しみなことが出来たんだー」
「先輩ってホント単純だよね」
た、単純っ!?
私そんな風に思われてたの!?
たしかにそうだけど…まったく反論はできないけど…。
「でもそこが可愛いんだけど」
高遠くんの言葉と優しい微笑みは破壊力ハンパない。。。
ドキドキして顔を背ける。