その背中、抱きしめて 【上】



家に帰ってきても、高遠くんをお昼に誘うかどうかひたすら悩んで時間が過ぎる。


急に誘うのってやっぱり変だよねぇ。

どういう理由で誘う?


(うー…思い切って電話してみるか!?…もうどうにでもなれっ!)



プルルル…

4コール目で電話がつながった。


『はい。先輩?どうしたの?』

「いきなりごめんね。あのね、ちょっと…うーんと、お願いっていうかお誘いっていうか…。明日なんだけどね、えと…一緒にお昼食べたいなぁって思って」


しどろもどろすぎる!

私、年上なのに年下の子に何でこんなにしどろもどろになってるの!

あーほんとに恥ずかしい。。。


『それ言うために、そんなに緊張してんの?』

高遠くんがちょっと笑い交じりに言う。

「もうド緊張だよー…」

力なくちょっと涙声になりながら答えると、高遠くんの声色がもっと優しくなった。


『緊張することないのに。いつだってそうやって先輩のしたいこと言って来たらいいんだよ。先輩は遠慮しすぎ。いいよ、明日一緒に昼食べよう。学食?』

「私、お弁当ばっかりであんまり学食行ったことないから学食がいいな」

『わかった。楽しみにしてる』


電話を切ってため息が漏れる。

わー緊張した。

だけど…


(高遠くんオッケーしてくれてよかったぁ…)


ベッドに”ぼすっ”と倒れこむ。

明日は一緒に学食食べて、その後ケーキ渡して…。

ケーキ喜んでくれるかなぁ。



…あれ…そういえば高遠くんモテるんだよね。

チョコいっぱいもらったりするよねきっと…いや、絶対。。。



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