その背中、抱きしめて 【上】
そして”くいっ”と手を高遠くんの方に引っ張られて、いとも簡単に膝の上に座らされた。
正面を向いてる高遠くんに対して、横を向いて座る格好。
「どう?座り心地は」
「……パニックで何も考えられません…」
高遠くんはふっと笑うと、そのまま私を見続ける。
「…どうしたの?」
「いや、なんか先輩の方が目線が上っていうのもいいなぁって思って」
いつも私の目線よりだいぶ上にある高遠くんの目線。
いつも優しく見下ろしてくれる目が今は私の目より下にある。
なぜかよくわからないけど、すっごく愛おしくなって…ちょうど私の口と同じ高さにある高遠くんのおでこにキスをした。
「柚香先輩…?」
高遠くんの声で我に返る。
(!!??私、今何した!?すっごい自然に何した!!??)
「ご、ご、ごめん!!なんか私おかしくなった!ごめん今のナシ!!!」
立ち上がろうとした瞬間、後頭部を大きな手で押さえられた。
気付くと目の前には高遠くんの顔。
「おでこじゃなくて、こっちがいい」
高遠くんは自分の唇を人差し指で触った。
「柚香先輩、キスして?」