その背中、抱きしめて 【上】
これが清水くんが言ってた『重い』ってこと?
これが独占欲?
こんなの全然嫌じゃないよ。
重いなんてこれっぽっちも思わないよ。
むしろ心配してくれて嬉しいって思っちゃうのは、おかしいのかなぁ。
(ほっぺた痛すぎるけど)
「結局送ってもらっちゃってごめんね。ありがとう」
家の前で高遠くんにお礼を言う。
みんなと駅に向かって歩いてたのに、清水くんの挑発で走って戻ってきたあげくに私を家まで送り届けてくれた。
「最初っから送るつもりだったよ。空暗かったし。なのに後ろから来てるかと思えば知らぬ間にいなくなってるし、芦澤の奴らも歩いてるけど大地がいないからもしやと思ってアイツに電話したら案の定」
「…ごめんなさい…」
高遠くんが小さくため息をついて、私の髪をくしゃっとする。
「もういいよ。また明日ね」
高遠くんの袖をちょっと引っ張る。
「高遠くん、ありがと」
少し微笑んで高遠くんは帰って行った。