その背中、抱きしめて 【上】
先生と生徒復活
バレンタインが終われば、次のイベントは3月初めの学年末テスト!
「高遠くん、また勉強教えて」
部活帰りに思い切って頼んでみる。
「いいよ、そのつもりだったし。先輩が俺にお願いしてくるのってレアだね」
「そうかなぁ?なんかいつも色々やってもらってる気がするけど」
「それは俺が勝手にやってるだけで、先輩から頼まれたのってほとんどないよ」
そうだっけ?
まぁたしかに遠慮することもあるけど。
「じゃあこれからはいっぱい高遠くんにお願いしようかなぁ」
「してよ。その方が俺も嬉しい」
(ほら、また…)
ヨリを戻してから、高遠くんの表情とか雰囲気が優しくなった気がする。
はにかみ笑顔も前より多くなった。
総合的に見ればまだまだクールで何考えてるかわかんない人だけど、でも前に比べたら優しい顔になったと思う。
「何見てんの?」
高遠くんがちょっと嫌そうな顔をする。
「高遠くん、雰囲気柔らかくなったなぁって思って」
「変わんなくない?」
「変わんなくなくない。…あれ?変わんなくない。どっちだ?」
「なんじゃそら」
高遠くんが笑う。
ほら、やっぱり変わってるよ。
前は2人で笑いあうってあんまりなかったもん。