その背中、抱きしめて 【上】



廊下側の私の席。

この階にいるはずのない人が廊下に面した窓に両肘ついて、急に話に加わった。


「高遠くんっ」


どこから聞かれてた!?

ていうか、何で2年の階にいるの?

一気にクラスの女子たちがざわつく。


「どうしたの?」

小さい声で聞いてみる。

「今日、体育館使えなくなったらしくて部活休みです」

2人の時はタメ口になったのに、近くに誰かがいる時は必ず敬語。

「ちなみに女バレもです」

さくらちゃんの方を向いて、少し笑顔で言う高遠くん。

やっぱり雰囲気柔らかくなったよ。


「マジ?やった!バンザイ週休2日!」

さくらちゃんが両手を上げて喜んだ。

女バレすっごい厳しいもんね。


なぜかどこの学校でも女バレと女バスは厳しい。

私も中学の時すっごい厳しかったもんなぁ。


「てか、高遠くん変わったね。前はそんな業務連絡で笑顔なんて出なかったのに」

さくらちゃんが高遠くんに微笑みかける。

「ゆずがいるから、って思っていいのかな?」

「いいですよ。当たってるんで」


高遠くんが綺麗に笑った。


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