その背中、抱きしめて 【上】
いつも午前授業で午後部活がある時は麻衣ちゃんとお弁当食べてるんだけど、今日はさくらちゃんと食べることになった。
麻衣ちゃんは女バレのお友達と食べるからって快く受け入れてくれた。
「さぁ聞かせてもらおうか。週末何があったの?」
さくらちゃんがずずいと身を寄せてくる。
「何、というか…高遠くん家に泊りで勉強会した…んだよ」
さくらちゃんの迫力に、ちょっと後ずさりしたい気分で答える。
「泊り!?」
さくらちゃんがすっとんきょうな声を上げた。
「高遠くん…ずいぶん大胆な行動に出たね。…それで機嫌がいいんだ」
「楽しくて幸せだったんだよ。一緒にご飯作って食べたりとか、なんか同棲してるみたいな…新婚みたいな感じで」
言ってて恥ずかしくなって、両手で顔を覆う。
「…ねぇさくらちゃん」
「うん?」
「…羽柴くんとエッチした?」
「はぁ!?」
さくらちゃんが驚いた瞬間に顔を赤くする。
「ゆず、しちゃったの?」
「しないしない!!!してないよ!!!けどお姉ちゃんに泊まったのにしないなんてってギャンギャン言われて…」
結局あの夜もご飯食べた後に部屋で長々お説教(?)された。
(テスト勉強しなきゃいけなかったのに…)
「…エッチしたよ。初めては1年の冬だった」
「怖くなかった?」
「うーん、ちょっと怖かったかな。最初は痛いって言うじゃん?だからそれがね。痛みへの恐怖が」