その背中、抱きしめて 【上】
控えチームのサーブは綺麗にレシーブされて高遠くんにオープントスが上がった。
高遠くんのジャンプの角度、腕を振る角度、そして高遠くんの目線。
それらを見て一瞬でスパイクの方向と角度を把握する。
(ど真ん中だ)
みんな高遠くんの強打に備えて下がって構えてるから、ちょうどコートの真ん中にぽっかり穴が開いてる。
そこ狙いだ。
走り込んでも間に合わないから、フライングレシーブした。
出した右手にボールが当たってセッターの頭上に上がる。
ジャンプトスからのクイックで2点目が取れた。
「ゆず先輩、すげー!翔のスパイク読んで拾うなんて」
前田くんが興奮して寄ってきた。
それを聞いた高遠くんが
「だって先輩のレシーブ力、リベロ並だもん」
って、何故か得意げに笑った。
(私にレシーブされて悔しくないのかな…)