その背中、抱きしめて 【上】
「はぁ〜楽しかった」
高遠くんと一緒の帰り道、今日久しぶりにバレーが出来た喜びを噛みしめた。
「やっぱ先輩すごいね。ブランク全然感じさせない」
「ううん、そんなことないよ。明日きっと筋肉痛すごいよ」
筋肉痛でバキバキになるのを想像して苦笑いした。
ジャンプするのってかなり全身の筋肉使うんだよね。
「憧れの人と対戦できて、めちゃくちゃ楽しかった」
高遠くんが嬉しそうに言ってくれて、私も心から嬉しくなった。
「高遠くんのスパイク受けたの感動したよ」
「あ、腕平気?内出血してない?俺嬉しくて全然加減しないで打ってたから」
急に高遠くんが心配そうに私の腕を掴む。
コートと制服を捲って腕を見せて、何もなってないことを伝える。
「ほら、全然大丈夫。ていうか、加減なんてしないで。それじゃ練習にならないでしょ?いつも通り打ってよ」
「そう言われると思った。でも先輩腕細いから折れないかって心配で…」
もう、どんだけ心配性なの?
「初心者ならともかく、バレー経験者なんだからそう簡単には折れませんよ」
肘を曲げて力こぶを作るポーズをした。