その背中、抱きしめて 【上】



昼休みに珍しい電話の着信。


「あれ?高遠くんだ」

電話に出る。

『先輩、昇降口来てみな。ダッシュね』

それだけ言うなり電話を切られた。


「高遠くん、何だって?」

さくらちゃんに聞かれても

「わかんないけど、昇降口までダッシュで来てって」

私は首を傾げた。


とりあえず言われた通りに昇降口までダッシュする。

走りながら気がついた。


(学年末テストの成績優秀者の貼り出しだぁ!)


今日の昼休み、貼り出されるんだった。

高遠くんに呼ばれたってことは、もしかしたらもしかしたのかも!


テストは全教科、自己最高得点だった。

もしかしたらギリギリ50番に滑り込めるかもって期待してた。


息を切らして昇降口に到着した。

もうすでに人が集まり始めてる。


その中に高遠くんを見つけて制服の背中をくいっと引っ張った。

「どんだけ体力ないの」

肩で息をしてる私を見て高遠くんが笑った。




「先輩、見てみ」

高遠くんが指さした方を見ると


「……あったぁ……」


46番。


私の名前がそこにあった。



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