その背中、抱きしめて 【上】
「高遠くん…あったよ…」
声が震える。
視界がぼやける。
「先輩、頑張ったね」
高遠くんに頭をポンポンって叩かれて…
涙腺が崩壊した。
掲示板の前には人垣ができ始めてるのに。
それでも涙は止まってくれなくて。
涙が見えないように高遠くんが後ろから笑いながら私の顔を両腕で覆った。
「あ…高遠くんっ、高遠くんは?」
高遠くんの順位は…?
「気になるなら自分で見てみな」
高遠くんの腕が外されて、視界が開ける。
1年生の順位表に視線を向ける。
その1番最初に
高遠くんの名前がひときわ目立って書かれていた。
「1番…?」
「うん、1番」
「おめでと…」
また涙が溢れた。
自分の勉強だってしなくちゃいけないのに、テスト前に私の勉強をあんなに一生懸命見てくれたことに感謝の気持ちでいっぱいで。
「先輩もおめでとう」
高遠くんがまた両腕で私の涙を隠してくれた。