その背中、抱きしめて 【上】
「お、あのへんバスケかバレーだろ」
他の子たちより背の高い数人が笑い合いながら歩いてる。
身長180センチ超え(推定)の男子たち。
その数メートル後ろを歩いてくる男子に目が釘付けになった。
「あ…」
知ってる。
あの顔、知ってる。
忘れない。
忘れるわけがない。
一昨年の夏、中学の全国大会で優勝して最優秀選手に選ばれた2年生。
決して背が高いわけじゃなかったのに、高いジャンプと綺麗なフォームから放たれるアタックは、とても速くてコントロールが正確だった。
目線を奪われるしなやかなアタックは、今でも目に焼き付いてる。
そのくらい本当に綺麗なフォームだったんだ。