その背中、抱きしめて 【上】



-------------2年前の夏。



地元で行われた中学バレーの全国大会。

目の前で男子の決勝戦が行われていた。




さすがに全国レベルにもなると身長高い選手も多くて、同じ中学生とは思えない。


この2チームが全国の中3バレー部員の中で1番長くプレーしてるんだ。

この夏の大会が3年にとっては最後の大会だから。


市大会で負けちゃうチームだって多い。

都道府県大会で涙を呑むチームだってたくさんある。

それに勝ち残った1チームが地区のブロック大会(関東大会とかね)に出て、そこからまた数チームに絞られて…。


全国大会までこれるのは36チーム。

その全国の頂点を決めるゲームが今、目の前で行われてる。




コートにいる12人の中で、私はただ1人だけを見てた。

とにかく目を奪われるような綺麗なフォームから打ち下ろされる鋭く速く正確なスパイク。

力強いスパイクを打つ選手が多いレフトのポジションなのに、彼のスパイクは速くて、しかも同じフォームから右へ左へと打ち分けてるから、相手が球筋を読めなくてなかなかレシーブができない。

彼のスパイク決定率、ほぼ100%なんじゃないかなぁ。


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