その背中、抱きしめて 【上】
「先輩、俺の順位見るためにここに来たんでしょ?ずっと気にしてたんですね。ホントすみません」
「高遠くんが謝ることない!!」
とっさに顔を上げる。
涙で顔ぐちゃぐちゃだけど。
「高遠くんは謝らないで…!私が…私が…!!」
もう何言ってるんだかわかない。
でも、高遠くんは謝らないで。
高遠くんは何も悪くない。
私のこと考えてくれて、少ない時間の中で勉強して1位を取ってくれた。
「先輩、落ち着いて。わかったから。涙拭きましょう」
そう言って、両手の親指の付け根で涙を拭いてくれる。
「いい点取れました?」
両手で顔を包まれたまま、優しく聞かれた。
「うん、今までで1番いい点取れたよ。本当にありがとう。卒業するまでに私の名前もあそこに貼り出されるように、これからも勉強頑張るね」