その背中、抱きしめて 【上】




「先輩、俺の順位見るためにここに来たんでしょ?ずっと気にしてたんですね。ホントすみません」

「高遠くんが謝ることない!!」


とっさに顔を上げる。

涙で顔ぐちゃぐちゃだけど。


「高遠くんは謝らないで…!私が…私が…!!」



もう何言ってるんだかわかない。

でも、高遠くんは謝らないで。

高遠くんは何も悪くない。

私のこと考えてくれて、少ない時間の中で勉強して1位を取ってくれた。




「先輩、落ち着いて。わかったから。涙拭きましょう」



そう言って、両手の親指の付け根で涙を拭いてくれる。


「いい点取れました?」


両手で顔を包まれたまま、優しく聞かれた。


「うん、今までで1番いい点取れたよ。本当にありがとう。卒業するまでに私の名前もあそこに貼り出されるように、これからも勉強頑張るね」




< 78 / 503 >

この作品をシェア

pagetop