その背中、抱きしめて 【上】




----------その時の彼が。




その時の綺麗な彼がうちの学校に来た。



もしやそっくりさん!?

それとも私の記憶違いか!!?




いやまさか。


あの顔を忘れるわけがない。

2年経ってるけど、でもしっかりと記憶に焼き付いてる綺麗な顔。







「ゆず、どしたの?」




さくらちゃんの声で現実に戻された。




「や、あのね。定かじゃないんだけど、私が中3の時に男バレの全国大会で優勝した学校の
子が…」


私がその彼を指さすと、さくらちゃんと羽柴君が窓から身を乗り出して確認する。


「わっ!何アレ美形じゃん!あれでバレー?ないない!ないっしょ!!アレ絶対同級生からも上級生からもモテるよ。大変だね~」


さくらちゃんのテンションが上がってる。


「ねぇ、羽柴くんは知らない?名前覚えてないんだけど、きっと去年とかも全国行ってると思うんだよね」

「俺らも1年練習と試合漬けだったからなぁ、あんま中学とか知らないんだよなぁ。でも、もしゆずの言うそいつだったら、うちに化け物が来たってことか」


そうだよね…私たちだって去年忙しかったから中学の大会のこととか全然知らないし、自分たちのことでいっぱいいっぱいだったもんね。




校門のところからだんだん近づいてくる彼をずっと目で追ってみる。


あの彼かなぁ。

あの彼なのかなぁ。



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