ヴァンパイア達と甘くて刺激的な生活を

新しい家は叔父達の家から10個先の駅にあり、駅からタクシーで向かった。


タクシーに乗ること30分、やっと目的の家に着いたらしい。


降りてみると目の前の光景に腰を抜かしそうになった。


想像していた家よりも何十倍も豪華な建物がそこにあり言葉を失ってしまった。


（嘘でしょ…こんなに広いなんて…何人住んでんのよ）


人に興味の無い私にとって住人と関わらなければいい話だが、この広さだとそうもいかないようだ。



ピンポーン


一応一緒に住むことになるのだから礼儀はしっかりしておかないとと思い、住人が出てくるのを待った。


「はーい、どちら様ー？」


とても明るい声とともに出てきたのは、フワフワで手触りの良さそうな茶色い髪の毛をして、パッチリとした目をした男の子だった。


前髪を赤いゴムであげているので活発イメージが伺える。


「えっと、今日からここに住む「あー！君、岸 若菜ちゃんでしょ！」…そうですけど…」


自己紹介をしようとしたら目の前の男の子に遮られてしまった。


「よろしくねー！俺すっごく楽しみにしてたんだー」


「はぁ、そうですか」


ニコッと可愛らしい笑顔を向けられるが、楽しみであろうが無かろうが私にとってはどうでもいい。


「俺は諸星 陽。今年高1になるんだ！もしかしたら同じクラスになれるかもね！」


「そう。別に私には関係ないわ。それと、もう中に入っていいですか？」


3月下旬といえどまだ肌寒い。


陽の光が当たれば暖かいが、風が吹くと冬の名残りがあるように感じる。


「あぁ、ごめんね。さぁどうぞ」


ドアを開け放した途端、自分の目を疑った。