ヴァンパイア達と甘くて刺激的な生活を
「よろしくお願いします。私も若菜で結構です。それと身の回りのお世話とかいらないです。自分のことは自分でやりますので」


そう言うと、こっちを見ていた翔人さんの目がみるみるうちに開いていった。


そしてまた爽やかな笑顔を向け、「面白い方だ」と呟いた。


「それでは部屋に案内致しますね。荷物をこちらに」


「だから自分のことは自分でやるって言ってるの」


既に3人も話した上に、知らない奴にまで抱きつかれた私には相当なストレスが溜まる状況であった。


「そうですか。では参りましょう」


そんな私の態度にも嫌な顔をせず、翔人さんは部屋を案内してくれた。



「ここが若菜様の自室になります。必要な物はこちらで用意致しましたが、何か足りない物があったらいつでもお申し付けください」


「あ、はい。わざわざありがとうございます」


「それと夕食の時間は7時からになりますので、5分前にお声掛け致します。それまでは屋敷の中を見るなり、お庭に出るなりと好きな時間をお過ごしください」


「わかりました」


一礼し部屋を出た翔人さんを見送り、自分の荷物を整理することにした。


少しでも荷物を減らすために最小限の洋服しか持ってこなかったため、1時間もしないうちに片付いた。


引っ越しの疲れで眠気が襲ってきたので少しの間寝ることにした。


広く静かな部屋に自分1人。


まるで時が止まったような感覚だ。


そんな時にいつも思い出すのは、優しい顔で笑う父と母。


もう会うことはできないが、それまでの毎日は楽しかった。


そんなことを思いながら私は眠りについた。



< 7 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop