氷の魔女の春さがし
 やがて小さな町に着き、薄汚れた酒場を見つけて迷わず入る。

 ドアベルの音に店内の客達の視線が集まり、ガハハと荒々しい笑い声があふれた。

「お嬢ちゃんにはミルクぐらいしか出せねーぜ」

 いかつい顔のマスターが、フードを脱いだ少女のふわふわにカールした銀髪を見下ろす。
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