氷の魔女の春さがし
 ポーラが十二歳になっても村の景色は変わらなかった。

 村に訪れた変化といえば、子供達の背が伸びたことと、子犬だったコロンが名前とはかけ離れたどっしりとした犬に成長したことぐらい。

 それすらも昔から繰り返されてきた流れの一部に過ぎない。

 ポーラはレンズを覗き込む。

 若草が濃い緑へと移ろう景色の中で、笛を吹く少年と、寄り添う女神は輝いていた。

< 33 / 107 >

この作品をシェア

pagetop