氷の魔女の春さがし
「見えないわね」

 一人つぶやく。

 もともと小さな村ではあるが、見落とすというほどではないはず。

 小さな家々は雪に埋もれて、屋根すらほとんど確認できなくなってしまっているのだ。

 スリサズの目には、煙突からたなびく煙の灰色が、激しい吹雪の白さの中に辛うじてチラつくのが映っただけだった。
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