氷の魔女の春さがし
 一番大柄で気の強そうなおばさんが口を開く。

「あの罰当たり。
 春告げ鳥が居なくても春が来るだなんて大嘘じゃないか。
 仕事もせずに山の向こうの村をほっつき歩いてろくでもない話ばっかり仕入れてきてさ。
 それをほっとく親も親だよ」

 遠くで誰かが走り去る足音が聞こえたが、おばさんの勢いは止まらなかった。

「ねえ、みんなもそう思うだろう?
 だいたいあの家は昔から……」
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