イクメン作家と恋心。SS~ウェディングベル~第1話編~修正済み&2話追加。

「いいなぁ……」

私が見ているのは……ショーウインドーに
映り出されたウェディングドレスだった。

睦月君が小学校に入学するのを期に
結婚を決意してくれた。

籍も入り私も『藤崎』になったのだが
結婚式はしていない。

ウェディングドレスを着てバージンロードを
歩くのは、憧れもあったので先生に報告したら
忙しい、めんどくさいの一言で却下されてしまった。

まぁ、確かに
人気ベストセラー作家の先生は忙しい。

そんな時間も暇もないのかもしれない。
結婚してくれただけでも
感謝しないといけないのだろう。

だから諦めなくちゃあ……と思っているのだけど

ため息を混じりで見ていたら
服をツンツンと引っ張ってきた。

振り向くと睦月君だった。

「あぁ、ごめんね。
そろそろ行こうか?」

そう返事をすると睦月君は、コクりと頷いた。

睦月君は、普段ほとんど話さない。
語学障害がある訳でも人見知りをする訳ではない。

ただ長く会話をするのが嫌いなのだ。

下手に会話をさせると熱を出してしまうぐらい
彼には、ストレスになるらしい。

だからあまり
会話をさせないようにしているのだけど。

小学1年生になった睦月君と手を繋いで帰ると
先生が帰りを待っていてくれた。

「随分と遅かったな?買い物」

「すみません。寄り道をしていたら
遅くなっちゃいました」

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