イクメン作家と恋心。SS~ウェディングベル~第1話編~修正済み&2話追加。

ムスッと頬を膨らませながら歩いた。

拓馬君とそのママは、
家族と待ち合わせをしているため
先に帰って行った。

だから歩いているのは、
私と睦月君と先生の3人だけ。

「ったく、機嫌直せよ!」

先生は、少々呆れ気味に言ってくる。

だって、他人のふりをするんだもん。

こっちは、恥ずかしい思いをして必死に
頭を下げたのに。

すると前を歩いていた睦月君がこちらを向き

「でも、卯月。
ちゃんと話してたでしょ?」

そう言ってきた。

睦月君!?

「可哀想だよ。
一生懸命僕の代わりに話してくれたのに。
恥ずかしいと思ったら可哀想」

そう言ってくる睦月君に胸がズキッと痛んだ。

卯月を見ると気持ち良さそうにスヤスヤと
可愛い寝息をたてながら眠っていた。

「そうだね……卯月は、
一生懸命お話してくれたんだもんね。
恥ずかしいと思ったら可哀想だね」

ごめんね……卯月。

すると睦月君は、私と先生の間に
入り両手を繋いできた。

そして手をぶらぶらと手を振ってみせた。

その行動に驚いたけど
先生の顔を見て思わず笑ってしまった。

先生も静かに笑ってくれる。

そうだね……仲直りしないとね。

私達は、手を繋ぎながら
夕日に向かって帰って行った。

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