ウソツキセンセイ
「あ、はい…」


 極力平塚先生と会話をしないように、とあたしは自分に言い聞かせる。苦手な人に気を遣ったり、遣わせたりすることが嫌いだからね。


 そんなあたしの思いとは裏腹に、平塚先生は「僕も探しますよ」と言うが、あたしは別に大したものじゃない、と先生のことを止めた。 化学の課題プリントは机の下に落ちていて、あたしはそれを拾い上げた。


 少しホコリがついていたのを払って、あたしはすぐに理科室を出ようとした。


「あ、横田さん」


 それなのに平塚先生はあたしのことを呼び止める。


「はい……?」


 怒りたくなる感情を抑えて、あたしは先生の方を振り向く。


 お願いだからこの苦痛な空間から抜け出させて。ただそれでけだから…。


「不躾で申し訳ないのですが、少しだけ手伝ってくれませんか?」



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