ウソツキセンセイ
 ただ何も言わずに平塚先生はあたしのことを見つめているだけ。


「平塚先生…?」


 バクバクと急に心臓が高鳴りだし、あたしは慌てて平塚先生の顔の前で手を振る。


 時々、平塚先生が何かに思いふけって黙ってしまうことがある。今のも例外ではないけれど、毎回こうやって見つめられるとさすがに心臓が持ちそうにない。


 我にかえった平塚先生は、ごめんと短く言ってあたしから離れた。


 触れていた手の感覚が無くなり、少しさみしさを感じたけれど、平塚先生が元に戻って良かった。


「横田さん、ちょっと来て」


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