ウソツキセンセイ
 もやもやしているけれど、ふわふわしているこの複雑な感情は、まだあたしには何なのかはわからない。


 きっと、わかっても認めたくないのかもしれない。


「横田さん」


「はい?」


「クリームついてる」


 指で唇の少し隣の部分をなぞられ、その指を平塚先生はぺろりと舐めた。


「…あ、ありがとうございます…」


 素でやっているのか、それともわざとやっているのか分からないけれど、今の平塚先生にものすごくドキドキしてしまった。


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