ウソツキセンセイ
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あたし、何やっているんだろう。
なんで平塚先生の授業の片付けなんかしているんだろう。
今日の実験で使った試験管や、だいぶ前から放置されていた実験器具を、あたしは流し台で一つずつ洗う。
忙しいので、と断ることだって出来たはずなのに、あたしは逆にこの気まずい空間に留まることを選んでしまった。
「助かります、横田さん」
お礼にあたしの化学の成績を上げてくださいとでも頼もうか。
なんて図々しいこと、平塚先生にお願いすることはできない。
「ちょうど僕の方も終わったので、そっち手伝いますね」
書き物の作業を終えた平塚先生は、あたしがいる流し台まで歩いてくる。