ウソツキセンセイ


***


 あたし、何やっているんだろう。


 なんで平塚先生の授業の片付けなんかしているんだろう。


 今日の実験で使った試験管や、だいぶ前から放置されていた実験器具を、あたしは流し台で一つずつ洗う。


 忙しいので、と断ることだって出来たはずなのに、あたしは逆にこの気まずい空間に留まることを選んでしまった。


「助かります、横田さん」


 お礼にあたしの化学の成績を上げてくださいとでも頼もうか。


 なんて図々しいこと、平塚先生にお願いすることはできない。


「ちょうど僕の方も終わったので、そっち手伝いますね」


 書き物の作業を終えた平塚先生は、あたしがいる流し台まで歩いてくる。
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