ウソツキセンセイ
 冗談だと分かっているとはいえ、あたしの頬は熱くなる。おかげでせっかく涼しいと思ってきたのに、また暑くなってきた。


「冗談じゃないって言ったらどうする?」


 黒板を消し終えて、平塚先生は教卓に座る。どうやら、まだ作業するものが残っているらしく、ノートを広げていた。


「平塚先生は嘘つきですから」


「俺、君が思うほど嘘つきじゃないよ」


 ただいい顔をしているだけ、と付け足して、平塚先生はあたしのことを見た。


 人柄を作っていることは嘘をついていることと大して変わりはないと思うけど。


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