ウソツキセンセイ
「……嫌なんだよね」


 やや沈黙があってから、平塚先生はポツリと呟いた。


「他人に奥まで踏み込まれるのが。だから生徒と距離を置いているっていう意識はあるかなぁ」


「……そうなんですね」


 確かにそんな感じはする。


 だって平塚先生はプライベートのこと一切話していないもん。


 進級して初めての化学の授業でも、女子生徒から彼女いますか?という質問に対して、秘密ですなんて答えたもん。


 みんなは絶対いるってはやし立てたけれど、今思えばその時の平塚先生顔引きつってた気がする。

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