ウソツキセンセイ
「それに俺、ずるくて卑怯者だから。幻滅されるでしょ、そんな先生」


 それをあたしに聞かれても…。


 何も言えずにあたしは黙って机のプリントに目をやった。


 きちんと埋められたそのプリントでさえ、今は背景の外という感じがしてならない。


「横田さんにだけ教てもいいんだけどね。俺が教師になるまでの過程を」


 そう言った平塚先生の顔は少し悲しそうだった。


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