ウソツキセンセイ
 平塚先生がところどころ嫌そうに話しているから、本当なんだな、とは思ったけれど、先生が派手な色に髪の毛を染めていたというのだけは想像出来ない…。


「不思議でしょ、どうして俺が教師になったかなんて」


 平塚先生が卒業した高校は、この高校よりもはるかに偏差値が低い高校だった。進学はおろか就職でさえままならないと言われるぐらいの高校に通っていて、どうして平塚先生は先生になったんだろう。


「俺、妹いたんだよね。二個下の」


 いた、という表現の仕方に、あたしは妙な違和感を覚えた。


「その妹さ、親のような高校教師になりたいってずっと言ってたんだよね。唯一の妹だったから、俺も心の中でこっそり応援してたんだけどさ」


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