ウソツキセンセイ
 そう言いかけて、平塚先生は目を下に落とす。


「俺が高校三年生になってしばらく経った頃に事故にあったんだよね。……その原因が俺がつるんでいた不良のバイクに轢かれた、だなんて」


 平然とした声で、平塚先生はペンケースの中からペンを取り出した。広げたノートに丸をつけたり線を引いたりしている。


「両親には心底軽蔑されたよ。というか、彼らとはもう離縁気味なんだけど。


 ……まぁ、罪滅しには程遠いけど、妹が死んだのを堺に先生になろうって決めたわけ」


 この話は終わりね、と無理やり話を切って、平塚先生は作業を始めた。


< 116 / 272 >

この作品をシェア

pagetop