ウソツキセンセイ
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「ソイツの名前を出さないで!!」
女性の大きな怒号が、墓地全体に響き渡った。
あたしはびくりと肩を震わせて、立ちすくんだ。
「ソイツのせいで!!私たちのアカネは死んだのよ!!どうしてソイツの名前を出すの!!」
「母さん、やめなさい…!」
まるで堰が切れたように、女性は泣き崩れた。それを男性が包み込むように抱きしめて、あたしにすまなさそうな顔をする。
この人たちは平塚先生の家族だということが分かった今、あたしは化石のように、ただただ二人を見つめていた。