ウソツキセンセイ


***


「ソイツの名前を出さないで!!」


 女性の大きな怒号が、墓地全体に響き渡った。


 あたしはびくりと肩を震わせて、立ちすくんだ。


「ソイツのせいで!!私たちのアカネは死んだのよ!!どうしてソイツの名前を出すの!!」


「母さん、やめなさい…!」


 まるで堰が切れたように、女性は泣き崩れた。それを男性が包み込むように抱きしめて、あたしにすまなさそうな顔をする。


 この人たちは平塚先生の家族だということが分かった今、あたしは化石のように、ただただ二人を見つめていた。


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