ウソツキセンセイ
「紅音!」


 騒ぎを聞きつけて、ところどころ桶に入った水をこぼしながら、蒼依が駆けつけた。


「どうしたの?」


 蒼依の問いに、あたしは首を横に振った。どうやら驚きのあまり、声が出なくなっていた。


「気分を悪くさせてしまって申し訳ない…。ただ、我々も君の言葉に動揺を隠せないんだ。


 ……まさか君の高校で、うちの息子が教師をしているといことを」


「うぅ……アカネ…アカネ………!!」


 女性が、亡くなった娘さん…平塚先生の妹の名前をしきりに呼ぶ。


 
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