ウソツキセンセイ
「………大の大人が子供の前で大泣きするなんて、みっともないですよ。そろそろ泣き止んだらどうですか?」


 涙目になったあたしの背後から、もう聞き慣れてしまった平塚先生が声が聞こえた。


 平塚先生はそのまま、あたしの腕を引いて、


「岸さん。横田さんとちょっとお話したいから、二人にさせてください」


「わ、分かりました…!」


 蒼依は戸惑いながらも快諾して、あたしと平塚先生のことを見送る。


 平塚先生の登場で、さらに大きく泣きわめく女性の声が、あたしの背中をちくちくと突き刺した。

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