ウソツキセンセイ
 1番泣きそうなのは平塚先生のくせに、と言い返してやろうかと思ったけど、今平塚先生といるおかげで、少し救われた気がするから、言い返すことが出来ない。


 口をつぐんだまま、あたしはぐっと涙をこらえると、平塚先生はまた笑った。


「こんなところで横田さんと会うとは思ってなかったよ。横田さんも誰かのお墓参りに来たの?」


「あ、あたしは蒼依の付き添いで……」


「そうなんだ。…俺も妹の命日で来たんだけどね。騒がしかったから何事だろうって駆けつけたけど…まさか横田さんがいるとは思わなかった」


 あたしもです、と答えて、あたしの涙はようやく止まった。


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