ウソツキセンセイ
 怖いよねー、と言って、平塚先生は窮屈なワイシャツの第一ボタンを外した。確かに夏なのに長袖のスーツを着ているのを見ると、あたしまで暑苦しく感じる。


「あーでも困ったなぁ…」


「何がですか?」


「俺さ、妹が通っていた高校に勤めているって、あの人たちに言っていないんだよね。言ったら、『死んでも茜のことを辱めるつもりか』って怒鳴られるからさ」


「……そうでしょうか…?」


「うん。俺が妹の未来を奪ったようなものだからね。妹がなりたがっていた教師に俺がなることが、許せないんだろうし、俺の明るい未来が気に食わないんだろうね」


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