ウソツキセンセイ
 こんな言葉が、まさかあたしの口から出るとは思わなかった。


 平塚先生は少しだけ驚いた表情を見せて、あたしの言葉をじっと聞く。


「あたしは、茜さんのように夢とか将来やりたいこととか、そういうの持ってないんです。持ってないのに今あたしは生きているんです……!


 でも、誰かの夢や未来を望まないなんて、そんなことはしたくないです。…少なくともあたしは、平塚先生が先生でいて良かったと思っていますから」


 きっと、そう思っているのはあたしだけじゃない。クラスメイトや、他の学年の人たちもそう思っているはず。


 例え誰にでも分け隔てなく優しい平塚先生が、実は嘘偽りの姿で出来ていたとしても。


 そういうのも含めて平塚先生だから。

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