ウソツキセンセイ
 額を拭くために、平塚先生の髪の毛を少し触ったけれど、思った通り繊細でふわふわだった。


 病人にこんなことを思うのは不謹慎だと思うけれど、綺麗だなって見とれてしまった。


「そう言えば…」


 橋本先生と蒼依、なかなか戻ってこないなぁ…。出ていってからもう二時間くらい経つんだけど。


 さすがに誰もいない保健室で、平塚先生を置いていくわけにも行かないから、あたしは黙って平塚先生のそばで座っている。


 こういう時、何か読む本とかあれば便利だなって思う。

< 163 / 272 >

この作品をシェア

pagetop