ウソツキセンセイ
 ぎゅっと目をつぶると、いつの間にかあたしの肩には平塚先生の腕が回っていて、強く抱きしめられた。


「大丈夫ですか?」


 見上げると、整った顔立ちの平塚先生の顔がすぐ目の前にあった。


「うっかりしてた、床しっかり拭いておけば良かったな。何はともあれ、転ばなくて良かったです」


 平塚先生は顔を綻ばせて笑った。本当にあたしのことを心配していたのか、いつもあたしが「嘘くさい」と言っていたような笑顔ではなかった。


「…あっ、ありがとうございます。じゃあ、あたし教室に戻るんで」


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